

「窓」ー 旅立ちの朝に
みなさん、こんにちは!
トモアキの新春第2弾エッセイです。
「窓」― 旅立ちの朝
息でくもる窓に、指で丸や三角を描く。
手でぬぐい、また息を吹きかけて、
今度は自分たちの名前を書く、
私の息子と娘のこんな光景を
休日のリビングでながめている。
「空気には目に見えない水の粒が浮かんでいて、
暖かい空気が冷たいものに触れると、
見えない粒はしずくに変わるんだよ。」
と、そっと子供たちに言った。
暖かいものと冷たいものが接触してつくる水滴―
涙もそうかも知れない。
「からたちのそばで泣いたよ みんな、みんな、やさしかったよ。」
北原白秋「からたちの花」の一節だが、
こごえた心が人の優しい気遣いやちょっとしたしぐさに触れて、
目に露をむすぶ作用は誰もが経験で知っている。
今月、3月6日はわが東京国際学園の卒業式である。
旅立ちの日である。
旅立ちの朝。卒業生ひとりひとりの心の中にも
息でくもる窓ができるにちがいない。
その窓にそれぞれがどんな夢を描くのだろうか。
あっ! また自分の世界に入ってしまった。
休日のリビングでのことである。
