さくら国際高等学校 東京校では、世界の子ども達のために文化祭やバザーなどを通じて募金活動を行ってきました。1996年11月に行われた文化祭より、東南アジアの内陸国である「ラオス」に学校を建設する活動が具体的にスタートしました。活動のきっかけになったのは、不登校を経験した生徒が「学校に行きたくてもいけない国の子供達に学校をプレゼントしたい」という発案でした。
校内では”えがおがラオス”というグループ名で有志が集まり活動をしてきました。それが「ラオス委員会」となり、そして「国際交流委員会」と名前を変えて継続しています。さくら国際高校東京校の全校生徒は「サバイディー」などラオス語で挨拶ができます。全校を挙げて始まったラオスの活動は、過去に8校の学校を、ラオス教育スポーツ省や国家主席府を通じて建設してきました。また、2015年の11月11日~17日まで、新たに8校目の学校建設の着工式に参加するため、ラオス訪問をしてきました。(※建設地:ビエンチャン県トウラコム市ナーノッククム村)そして生徒たちは実際の建設作業にも参加しました。この8校目の学校は、国交60周年を記念して創られた学校でもあります。その訪問には『ランナー!』で有名なサンプラザ中野くんも同行し、同時期に開催されたラオスでジャパンフェスティバルに参加しました。ラオス訪問では国家主席官邸を表敬訪問、現地の小学生と運動会を開催、夜はホームステイなどを行い、生徒たちにとっても貴重な経験になりました。これまで、のべ180名の生徒がラオスを訪問してきましたが、こうした活動により、ラオス政府からの「情報文化観光大臣表彰」や、日本政府からの「外務大臣表彰」など、様々な機関から賞を頂いております。2018年8月にも約40名の生徒・教職員がラオスを訪問して参りました。その後コロナウイルスの世界的な感染により、学校建設活動はできずにいます。2022年にはコロナウイルス抗原検査キット2000セットと、不織布マスク1万枚を現地日本大使館を通じて各校に寄贈しました。
ラオス人民民主共和国は、東南アジアに位置しており、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジア、中国の5か国に囲まれた内陸国です。”アジアの最貧国”と言われることもありますが、心の豊かさはアジア一です。色々な国がアセアン地域の陸の要として注目し、企業がどんどん進出しています。首都ビエンチャンは高級車が走っているくらい、経済が活発になってきましたが、地方では自給自足の生活をしている人達がまだたくさんいます。首都ビエンチャンには学校が立ち並びますが、ラオス政府には全国津々浦々まで学校を建てるほどの予算はまだまだありません。そのためそれぞれの村が学校を建てるのですが、斜めに傾いていたり、先生が不足していたりと学校として機能していない場所もあります。また炎天下の中を何キロも先から登校し、やっと学校に着いても井戸がなく飲み水がない学校も多くあります。そんな「学びたくても学ぶ場所がない」ラオスの子どもたちに学校を贈るべく、私たちは活動を始め、そして今後も継続していきます。
本校で寄贈している学校は、屋根は瓦、壁と床はコンクリートでできており、多く見られる竹の校舎に比べて快適に勉強ができています。建設費用約350万円を生徒の募金活動、ラオスフェスティバルでのチャリティーマーケット、文化祭の収益金等で貯蓄します。そして赤い屋根に白い壁、教室が3つ、職員室1つ、多目的室1つ、井戸、トイレが完備された学校を建てています。
さらに、代々木公園で毎年11月に開催される渋谷区の「くみんの広場」に参加し、チャリティバザーを開催します。このバザーでの売り上げは、ラオスの学校建設資金に充てられます。献品の呼びかけ、商品の仕分け、値付けなど、チャリティバザーの準備・販売は、全て国際交流委員会の生徒中心で行われます。また、本学の文化祭でもラオスの民芸品や研究成果を展示し、出店などにより各クラスで得た収益も募金に繰り入れられます。
国際交流活動の一環として、毎年9月に外務省への訪問見学も行い、普段は入る事ができない「記者会見室」見学や「顕彰の像」、立派な日本庭園造りの中庭等も鑑賞し、また、「国際会議室」の席に実際に座り、外務省のラオス担当の方と質疑応答をさせてもらったりと、貴重な体験をしています。
さくら国際高校東京校では「国際化社会の中で活躍できる幅広い視野を身につけてほしい」、「思いやりのある豊かな心を育んでほしい」という願いのもとに、国際交流を積極的に実施しています。ラオス学校建設活動、ラオスフェスティバルなど、ラオスとの関わりを深めれば深めるほど、生徒も先生も学校も大きく成長します。私たちは、ラオスの子ども達のために学校を建設することだけが目的ではありません。学校建設を通じて、私たちがラオスに成長させて頂いていると感じています。
前述の通り、コロナ禍においては2022年に日本製の不織布マスク1万枚とコロナウイルス検査キット2000セットをラオスに送りました。本校が建設した小学校と、現地日本大使館を通じて首都ビエンチャンの4つの中等教育学校に寄贈しました。
ラオスフェスティバルは、本学園とラオス大使館が主催する、ラオスの文化を広く紹介するボランティア活動イベントです。ラオス関連のイベントとしては日本最大規模で、これまでに2007年、2010年、2012年、2014年、2015年より毎年開催し、過去に10回開催されています。2020~2022年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止し、2023年に第10回目となるラオフェスを再開しました。
ラオスフェスティバルは、本校が1996年から行ってきた「ラオスに学校をつくろう!」という活動の中で、ラオスという素晴らしい国をもっと多くの人に知ってもらいたい、生徒が活躍できる場を増やしたい、といった思いから企画されたものです。
初回はまさに暗中模索のスタートでした。当時日本にはラオス料理店がほとんど無く、出店団体の募集に苦労しましたが、無事開催にこぎつけ、生徒達は司会を務めたり、ボランティアとして各店舗のお手伝いをしたり会場の整理をしたりと大活躍でした。
第2回ラオスフェスティバル2010は、ラオス色をより前面に出すべくラオスに関わる出店団体の募集活動、広報活動に奔走した結果、初回をはるかに上回る11万人もの来場がありました。秋篠宮殿下とラオスのブアソン首相もご臨席され、また2010年は日本とラオスの外交関係樹立55周年にあたることから、ラオス建国以来初めて国家主席が公式実務訪問賓客として来日をされました(当時チュンマリー・サイニャソーン国家主席)。その歓迎レセプションも本学が中心となって開催しました。
第3回ラオスフェスティバル2012の出店数は90を超え、来場者数も16万人に急増。2012年はラオス観光年ということもあり、ボーセンカム・ヴォンダララオス情報文化観光大臣を招聘しました。第5回ラオスフェスティバルは、日本とラオスの外交関係樹立60周年にあたり、今までにない最大級のラオスフェスティバルになりました。来場者も20万人を超え、日本におけるラオスの認知度向上、さらには国際交流の懸け橋として貢献できていると実感できるイベントにまで成長しました。
毎回、ラオスフェスティバルでは生徒と教職員が一丸となって運営活動に参加します。各クラスのラオスフェスティバル実行委員を中心に企画が行われ、当日はクラスごとのチャリティーバザー、国際交流委員によるラオス紹介ブースや小学校建設ブースで、普段は内気な生徒が笑顔で声を張り上げる姿は感動的です。また、会場内のごみ収集と分別も生徒、教職員、保護者が中心となって行い、「素晴らしいフェスティバルですね」と来場者から賛辞を戴くなど、日本一クリーンなフェスティバルとしても評価を頂いております。
「学校」の枠をはるかに超えたイベントとして、一つの国のフェスティバルを一つの学校が主催し、その活動が更なるラオスの学校建設につながるという実践は、生徒と教職員にとって大きな誇りであり、自信となっています。