平成22年ラン雑感
平成22年ラン雑感
走り続けている。
川沿い、ある地点を往復する。
1時間ほどのコースである。
昨年7月31日、日本人初の宇宙長期滞在を終え、
米スペースシャトル『エンデバー』で帰還した若田光一飛行士。
足取り軽く臨んだ記者会見で、
「ハッチが開くと、草の香りが機内に流れ込み、
地球に優しく迎えられた気がした」と語った。
ある冬の日の夕暮れ。
草の匂いが私の伴走者である。
草の匂いが地球の匂いかもしれない。
宇宙から見ると、青く美しい地球。
宇宙から降り立つと、緑豊かな地球。
若田さんはいろいろな視点で地球を見つめたにちがいない。
冬休みのせいか、おじいちゃんがお孫さんを連れて
散歩している姿をよく見かける。
一瞬ですれ違ってしまうが、顔を見比べる。
命の連鎖を感じてしまうのである。
折り返し地点をターンすると、不思議と向かい風である。
この向かい風が気持ちいい。
向かい風を知って、初めて行きが追い風であったことを知る。
人生の追い風。人生の向かい風。ふと考えた。
人生の向かい風にこそ、生き方の真実があるのだと。
コースのゴール地点は神社である。
『二拝二拍手一拝』
二拝二拍手の“二”とはどういう意味なのだろう。
勝手に考えた。
神と私。見えないものと見えるもの。
その二つが一つにつながっていることに対しての
感謝と自覚。
『目に見える生命は、生命の無限の運動の一部分である』
トルストイの言葉が胸に響く。
文・トモアキ