HOKUSAI
夜のとばりが緑を包む。
晩秋の上野の森を歩く。
ふたつの影が光に溶けていく。
偉才、極彩、北斎。
開催中の葛飾北斎展を鑑賞。
会場は、入場制限がかかるほどの熱気。
浮世絵とは、世を浮かび上がらせる絵である。
最も印象に残ったのは、「 線。 」
線の一本一本は、細く弱い。
しかし、重なり重なり、千変万化の表情を見せる。
北斎は、線を駆使して、世を浮かび上がらせ、
人生・自然の美しさを描いた天才である。
「 一日見ざれば、三秋の如し - 王風『詩経』 」
何秋を経ても、人を引きつける北斎。
思慕をつのらせながら、
上野の坂をおりるのであった。
文―トモアキ