夢
世の中が濡れている。
雨の中であじさいが揺れている。
南アルプス連峰がせまってくる。
サムライたちを乗せたバスは深緑の高速をかけ抜ける。
試合会場のそばを流れる天竜川がどこまでも連れていってくれる。
野球部員みんなで作った「必勝」のお守りがユニフォームのうしろポケットにある。
6月20日(土)、全国大会県予選会。気温29度。歓声と沈黙。
準決勝は13対0で勝利。決勝は2対9で涙をのんだ。
野球部諸君!この涙を抱きしめて強くなってほしい。
大切なのは結果までのプロセスであり、結果後の生き方である。
「人」に「夢」を寄せると、「儚(はかな)い」となる。
はかない人生に、はかない夢を追い求める。
夢はひとりのものだけではない。引き継がれるものである。
「もうひとつの甲子園」
追い求める夢がまた現れた。
文・トモアキ