道
春の雨は、どこか優しく、
どこか温かい。
これからの一年をひとり歩いていく
背中をそっと押してくれているようである。
そんな雨が降っていた。
2013年4月11日(木)
第22回 東京国際学園入学式。
場所は、伝統と格式のある津田ホール。
希望を胸に秘め、入場してくる新入生。
新入生代表生徒の言葉が会場にしみわたる。
「一歩一歩進んでいく決意・・・
豊かな心を育て、飛躍につとめたい・・・」
京都・東山の2キロに満たない曲がりくねった小道に
足を踏み入れると、琵琶湖疏水(そすい)の静かな水音と
木々の葉擦れの音が身を包む。古都の雰囲気を身近に
感じながら、新緑や紅葉など四季の風景が楽しめる「哲学の道」(京都市左京区)。
西洋と東洋の哲学の融合を目指した「京都学派」の祖である
哲学者・西田幾多郎(きたろう)が散策し、思索を巡らせた場所だ。
ノベール賞 日本初の受賞者・湯川秀樹の
京都帝国大時代の哲学の先生でもある。
63歳の西田が詠んだ歌の碑が、哲学の道の中ほどに、
ひっそりとたたずむ。
「人は人 吾(われ)はわれ也(なり)
とにかくに 吾行く道を 吾は行(ゆく)なり」
「あなたは、あなたのままでいい。
踏み出す一歩が、やがてあなたの道になっていくんだよ。」
そう西田幾多郎先生も、新入生に語りかけてくれるに
ちがいない。
文―トモアキ