教員ブログ
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雪の糸

「 雪のなかで糸をつくり、雪のなかで織り、雪の水で洗い、雪の上に晒(さら)す。
  績(う)み始めてから織り終わるまで、すべては雪のなかであった。
                                    - 川端康成・雪国」
ある日の駅の改札。
雪のなか、一歩一歩近づくキミ。
手をあげると、それに気づき、小さくうなづく。
つかのまの談笑。そして・・・、
学校ヘは向かわず、家へと帰っていく。
こんな日を、幾度、繰り返しただろう。
そんなキミも、まもなく卒業である。
哲学者・三木 清は、こう言っている。
「 旅は、たえず過程である 」と。
卒業は、ゴールではない。
人生という旅の過程の一瞬にすぎない。
これまでの人に見えない、見せない「過程」が、
やがてキミを素晴らしい大人に成長させてくれる。
「 逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合わせ と 呼びます
                       
                          - 中島みゆき・糸 」
旅立ちの春である。
つむいだ雪の糸は、胸の奥に、とけ入り
消えることはないのである。
文 ― トモアキ