教員ブログ
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大せんぱいのコトバ

「冷たい」という言葉は、「爪が痛い」から来ているのだという。
国語学者の故・金田一春彦さんによれば、「爪」とは今の爪ではなく、
昔は指全体と言ったそうだ。たしかに、冷たさは、寒さと似ているようで違い、
指の先から伝わってくる。
立春も過ぎたが、冷たい雨が降る。
聖路加国際病院理事長の日野原重明氏(100歳)は、人間社会で
最も大切なことは、「ゆるす」ということだと言っている。
「愛することの裏には、つらいことや血の出るような苦しみも存在します。
本当の無償の愛というマントの裏地には、つらさで血のにじんだ布が
張られているのです。人をゆるすことは時として、血の出るような苦しみを
伴います。その血の代償として、人は愛を受け、救われるのです。」
そして、日野原氏は、二つの言葉を引用している。
作家・曽野綾子の言葉:
「人間というのは約束を守らなかったり,裏切ったりするものなのです。
自分は違うといい張る人もいるかもしれませんが、私はそう思っています。
それは、自分のなかにもそういう心があることを知っているからです。」
聖書の言葉:
「人を裁(さば)くな。そうすれば、あなたがたも裁かれることがない。
人を罪人(つみびと)だと決めるな。そうすれば、あなたがたも
罪人だと決めつけられることがない。赦(ゆる)しなさい。
そうすれば、あなたがたも赦される。」(「ルカによる福音書」6章37節)
加えて、先日、新聞のコラムで、俳優の高倉健(80歳)がこんなことを言っていた。
「人生には思いもかけないことが起こる。震災もそう。 
 生きていくのは、何と切ないのか。」
限られた時の中で、何ができるのだろうか。
まもなく年度末。別れと旅立ちの時。
大せんぱいのコトバが、一つになり、寄り添ってくれている。
文― トモアキ