旅立ちの日に
「雨の上には濃い雲があった。
雨の横にも眼界の遮(さえ)ぎられない限りは雲があった。
雲と雨との隙間なく連続した広い空間が、
津田の視覚を一杯に冒した時、
彼は荒涼なる車外の景色と、
その反対に心持よく設備の行き届いた
車内の愉快とを思い較べた。-夏目漱石著・明暗 」
「明」と「暗」
春の陽射し(明)を浴びた草花には、
一方で、陰(暗)が必ず存在する。
同じことが、人間にも当てはまる。
心の「明」と「暗」
たのしいこと・うれしいこと=「明」
つらいこと・かなしいこと =「暗」
両方が、心の根を深くする。
まもなく、卒業をむかえる3年生は、
それぞれの場所で、何を想い、何を見ているのだろうか。
人類学者で考古学者の鳥居龍蔵の言葉を贈る。
「私は学校卒業証書や肩書で生活をしない。
私は私自身を作り出したので、私一個人は私のみである。
私は自身を作り出さんとこれまで日夜苦心したのである。
されば私は私自身で生き、私自身で生き、私のシムボルは私である」
「雨雲が切れたなら 濡れた道 かがやく
闇だけが教えてくれる
強い強い光 強く前へ進め ー K・Only Human 」
今年も暗い夜道を一人歩く。
その先にある・・・に会いたくて。
文―トモアキ